自分の健康状態を把握するそこに日本の長寿の秘密がある
40代を境に、体力や集中力の低下など、老化の影響を感じる人が増える。だがそこで多くの人が決定的にどこか悪くなるまで病院に行かない。なんとなく不調という状態に慣れてしまい、その原因を突き止めずに、年齢のせいにして放っておく。
心和会グループ 江東メディカルタワー総院長のリチャード・ヒデキ・カシンスキー医師は、医療従事者と患者の繋がりの希薄化が、さらに拍車をかけていると語る。
「この四半世紀、科学の進歩は目覚ましく、それに伴って医療技術も飛躍的に進化しています。しかしそうした目まぐるしい進歩の中で、『診断の質の向上』『情報共有の迅速化』『作業効率の向上』といった点でのメリットが、思わぬデメリットをも生み出しています。例えば、各種検査の精度が高まった分、受診される方とじっくり話して病状を聞く必要がなくなり、医療を提供する側との絆が希薄化している、といったようなことです。これが『ちょっとした不調でも医者に診てもらう』とならない原因のひとつではないでしょうか」
これはむろん医療を受ける側の原因ではない。それだけに医療提供側がそれに気付き、行動すれば、不調のまま過ごしている患者のQOL(クオリティオブライフ=人生の価値)を上げることができる。カシンスキー医師は、所属する心和会グループ全体を通して、「受診される方の声に耳を傾ける」という基本を大切にする姿勢を貫いている。
仕事の生産性を上げるカギは心身の健康維持が握っている
そこで心和会グループが力を入れているのが、ホスピタリティーマインドに基づく人間ドックだ。一般的な人間ドックは結果を受け取って終わりになりがち。そこに、継続的に改善を促すシステムの構築を進めている。その代表的な施設が江東メディカルタワーの健診センターだ。
「不調は加齢に端を発しているとしても、食事内容や運動といった、生活習慣の見直しでその多くが改善します。まず人間ドックに『来るのが楽しみになる』ような付加価値をつけて、定期的に自分の状態を数値で自覚していただくこと。それから継続的に食生活の改善や日常的な運動時間を作っていただくしくみを提供する。それが江東メディカルタワーでの健康診断サービスです」
人間ドックに行くのは面倒という人は多い。検査のために空腹に耐え、検査着で建物の中をうろうろするのは、誰だって気が重い。
「そうした小さなストレスも感じさせない人間ドックを提供するために、設計段階からこだわり、動線を徹底的にわかりやすくしました。各フロアを時計回りに移動するだけで、すべての検査が受けられますので、検査の迷子になることはありません。他の受診者とあまり顔を合わせたくない待合スペースは、個室でくつろいでいるかのような空間作りを心がけました。検査の合間の休憩も、ただ時間をつぶすというより、リラックスして楽しめる時間になるよう、雑誌やドリンクのあるラウンジスペースをご用意しました」
むろん検査の内容の充実度も高い。約4000㎡の延床面積を活かし、オープン型のMRIや高精度3D―CTなどの先進医療機器を導入。複数の検査を組み合わせて、網羅的にチェックすることにより、がんの早期発見に高い精度を誇る。
「人間ドックのコースの中に、国内外で活躍するシェフがプロデュースする食事を組み込み、日ごろの疲れを癒すリラクゼーションをオプションでつけられるようにしたのは、忙しい人こそこの人間ドックを利用して、半年に一回、年に一回の、定期的な心と体のメンテナンスの日を設けてほしいという思いからです」
このレストランは、一階に入居している。タワー内には一般診療だけでなく美容にも力を入れるスキンクリニックなどもあり、こうした複合医療サービスの充実が、人間ドックをきっかけに、定期的にこのタワーに足を運ぶ仕掛けにもなっている。
「継続が大切な運動については、会員制のメディカルフィットネスクラブを併設し、検査結果と連動したプログラムを作って、生活習慣の改善指導を行っていきます。日常的なメンテナンスを通して、タワーへ気軽に足を運んでいただき、心身ともに健康で、社会的にも活躍する後半生を送っていただけるよう、日々サポートしてまいります」
●江東メディカルタワー TEL0120-900-563
※『Nile’s NILE』2019年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています