![趣あるショールーム](https://e.nileport.com/wp-content/uploads/2022/09/IMG_6314.jpg)
この数年で働き方が大きく変わったせいか、身近で「二輪の免許を取った」「バイクを買った」という人が増えた。実際、2021年の国内の二輪車新車出荷台数は前年比16.3%増。これは年々減少し続けていた状況からすると、驚きの大躍進だ。
そんなバイク業界で、異彩を放ち、注目を集めているのがマットモーターサイクルズ。かつて鉄鋼業で栄えたイングランド中部の工業都市、バーミンガムで2016年に創業した新進のバイクメーカーである。バーミンガムといえば、BSAやトライアンフ、ノートン、ニューインペリアルといった英国が誇る錚々(そうそう)たるメーカーが生まれた聖地でもある。
もともとカスタムバイク作りからスタートしたガレージブランドであるだけに、量産モデルを生産するに当たっても、自分が乗りたいカジュアルなバイクを作る、という強いこだわりを持ち続けている。
ハンドメイドで製作されたタンクには、艶つや消しのブラックやシルバー、インダストリアルなグレーといったミリタリー調な塗装が施され、クローム仕上げを極力抑え、ダークカラーでまとめたデザインは、精悍(せいかん)で引き締まった印象を与える。
このブランド、デザイン以外にもユニークな点が多々あるが、中でも最も特徴的なのは、125ccクラスから開発を始めたこと。現在、125ccと250ccの二つのクラスを展開しているが、125ccといえばスクーターの独壇場。そんなレンジにあえて切り込み、スクーターとは対照的なクラシカルなスクランブラースタイルに徹する。これこそがマットモーターサイクルズの真髄だ。
バイクらしいフォルムを大切にして、スタイリッシュなだけでなく、取り回しやすく、気軽に乗れる実用的なバイクを真剣に追求する。
英国では、125ccクラスでも高速道路を走行することができるので(残念ながら日本では不可)、日常の行動範囲で使うならばこれで十分、という合理的な判断だと思われる。その上で、たまには少し遠出もしたいという人のために250ccも用意した、ということだろう。
基本的には同じクラスの車両には、同一のエンジンとフレームを使用。価格を抑える工夫を施しながら、職人の手縫いのシートを採用するなどカスタム感の演出にも抜かりがない。
同じデザインのモデルを125ccと250ccで展開するというのも珍しい。ボディーサイズもほぼ同じで、一見しただけでは区別がつかない。
125ccクラスでは、出力不足を補うためのサイズダウンで全体的なフォルムのバランスを崩し、ミニチュアのようになることも多い。しかし、最高速や加速性より、スタイリッシュな雰囲気を重視するという潔い選択を行ったマットモーターサイクルズの車両は、125ccにおいても十分なボリュームがあって美しい。
普段着感覚で乗れる実用的でおしゃれなバイクは、世界中の大人たちが待ち望んでいた新しいジャンル。気軽に自分時間を楽しみたいという人に、おすすめしたい。
●マットモーターサイクルズ 東京ショールーム TEL03-5941-7444