資産的価値がある時計の条件とは何か? ゴールドに代表される希少性の高い素材のケース、技術の粋を凝らした機構、また時代を超えて受け継ぐための長期保証やメンテナンスへの配慮も不可欠だ。そんな要求を満たすIWCの新作を紹介したい。

まず、パイロット・ウォッチ・コレクションの中でも特別な存在というべき「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・トゥールビヨン“プティ・プランス”」。
IWCは、パイロット兼作家として活躍したアントワーヌ・ド・サンテグジュペリに敬意を表し、アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ・ユース財団と2005年からパートナーシップを締結、恵まれない環境下の子供たちの支援活動に取り組んできた。このパートナーシップの下、サンテグジュペリの名著『星の王子さま』の世界観にインスパイアされたパイロット・ウォッチ“プティ・プランス”エディションも発表している。
今回の新作は、このエディションの共通の特徴であるミッドナイトブルーの文字盤を備え、永久カレンダーとトゥールビヨンを組み込んだ超複雑なマニュファクチュール・キャリバー51950を搭載する。
ムーンフェイズの月と、サファイアケースバックから見える18K製ローターには、サンテグジュペリが挿絵として描いた、星の上に立つ王子さまのデザインを採用。ビッグ・パイロット・ウォッチのマスキュリンさに、ロマンチックで愛らしい魅力を添えている。
直径46.2㎜の存在感あふれるケースは、IWC独自のArmor Gold®製。特殊な製造プロセスにより、従来のレッドゴールドの5~10倍もの硬度を特徴とする。耐摩耗性に優れ、時代を超えてゴールドの価値を維持するのに適したものだ。

「ポルトギーゼ・ハンドワインド・トゥールビヨン」にも、このArmor Gold®製のケースが採用されている。1939年に二人のポルトガル時計商からの依頼で誕生した腕時計のDNAを受け継ぐ「ポルトギーゼ」。
歴史的なバックグラウンドを持ち、クラシカルな端正さが高い人気だが、手巻きトゥールビヨンを搭載したこの新作の魅力は格別だ。複雑機構でありながら、抑制の利いたエレガンスが印象深い。
IWCは全モデルに対して修理するという永久保証(有料)を約束している。欠品部品があった場合は新たに製造するという徹底ぶりだ。
さらに国際保証を8年にまで延長できるオンラインプログラム「MY IWC」も導入し、メンテナンスに関しても万全を期している。
最後にIWCに関するトピックをお伝えしたい。以前からIWCはサステナビリティに積極的な取り組みを見せてきたが、紙を原材料とするストラップシリーズ「Timber Tex」を発表し、環境に配慮するスタンスを前進させた。レザーに優るとも劣らない高い質感も評価に値する。
また日本で5店舗目のIWCブティックが神戸にオープンしたこともお知らせしておこう。IWCの世界にアクセス可能なポイントがまた一つ増えたことを歓迎したい。
●IWC TEL0120-05-1868
※『Nile’s NILE』2021年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています