東西を俯瞰する眼-帝国ホテルとライト- 後編

2023年、帝国ホテル2代目本館・ライト館が開業100周年を迎える。ライト館に象徴される帝国ホテルのナショナルブランドとしての先進性に改めて注目したい。

Photo Satoru Seki Text Junko Chiba

2023年、帝国ホテル2代目本館・ライト館が開業100周年を迎える。ライト館に象徴される帝国ホテルのナショナルブランドとしての先進性に改めて注目したい。

ライト館の全貌を再現した模型
ライト館の全貌を再現した模型。「東洋の宝石」と称された美しさを彷彿とさせる。客室がシンメトリーに配置された設計は、京都・宇治の平等院鳳凰堂にヒントを得たとされる。現在、正面ロビー特設スペースで「The WRIGHT IMPERIAL; A Century and Beyond」を開催中。この模型に加え、ライト館を中心とする帝国ホテルの歴史と今日に継承される文化を、現存する貴重な資料とともに展示している。

東西を俯瞰する眼-帝国ホテルとライト- 前編」から続く

日本の迎賓館、誕生 

帝国ホテルが誕生したのは、ライト館の開業より30年余りさかのぼる明治時代半ば、1890(明治23)年のことである。日本が近代化に向かってまっしぐらに進んでいた時代、海外の賓客をもてなす「日本の迎賓館」としてスタートを切った。発起人の一人は、後の初代会長、渋沢栄一。明治維新の混乱も落ち着き、「日本ももはや世界の一等国だ」との自信を深めた政官財のリーダーたちは、国の威信をかけて、この最高級ホテルをつくり上げたのだ。初代の建物は、ネオ・ルネサンス様式の木造3階建て。その堂々とした壮麗な姿を、江戸城外濠の水面に映していたという。

  • 「アーケード」 「アーケード」
    ホテル内外のお客様がショッピングを楽しめるよう、19の店舗を集めた「アーケード」。
    写真提供/帝国ホテル 東京
  • 「ルーフガーデン」 「ルーフガーデン」
    ルーフガーデン映画会の様子。昭和初期、夏季の約2カ月間、メインダイニングに代わりライト館の屋上に登場したレストラン「ルーフガーデン」では、ゲストへのサービスとして映画会を開催。写真提供/帝国ホテル 東京
  • 中庭 中庭
    日本の庭園を想起させるような中庭には芝生が敷かれ、季節の花々に彩られていた。

    写真提供/帝国ホテル 東京
  • 「アーケード」
  • 「ルーフガーデン」
  • 中庭

そして帝国ホテルは、隣接する鹿鳴館ともども「欧米と対等な関係を築く」という重大な使命を担ったのである。

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What is luxury?

What is luxury?

Questioning this has now become synonymous with confronting the times. We are now witnessing a transformation of values on a global scale.
Sustainable, SDGs, ESG...... these terms are becoming a natural part of our daily lives. Many brands and companies have already begun to take this stance, as individuals and society as a whole are expected to become more aware of the importance of sustainability. In "NILE PORT," we would like to rethink and re-present luxury in the current era, sharing our values with brands and readers who have a progressive awareness.