オーディオブームのさなかである1972年、多くのブランドが大量生産・普及価格帯路線に進む中で一歩距離を置き、オーディオの本質と向き合い、自らの理想とするこだわりの音を求めて設立されたオーディオ専業メーカーがアキュフェーズである。当時国産ブランドでハイエンド製品に特化したメーカーは数少なく、世界の高級ブランドと肩を並べる存在となることを目指していたのはアキュフェーズしかなかったのかもしれない。
その決意から50年の歳月が流れる中、現在まで会社の規模を拡大させず、量より質の追求に努めた製品開発を続け、いまや世界中にファンを作るまでになっている。
アキュフェーズ製品は品質の良さ、デザイン性、性能にこだわった最上級のオーディオシステムであることはもちろん、モデルチェンジのサイクルが長いことも特長といえよう。
加えて創業当時の製品まで可能な限り修理に応じるという手厚いアフターサービスを実現しており、製品の価値を長期間にわたり持続できることが人気の高さにつながっている。
この50年の歩みを記念して登場したのが、プリアンプC-3900、SA-CDトランスポートDP-1000、デジタルプロセッサーDC-1000という各ジャンルでフラッグシップとなる製品群であり、いずれも“歴代最高の静寂性”にこだわった。音量調節や機器切り替えなど、システムの中枢を担うプリアンプC-3900は前機種に比べノイズレベルを約30%減少させたDual Balanced AAVAの他、特許を取得した独自の雑音・ひずみ低減技術ANCCを採用し、圧倒的な静けさの中、鮮度良く音が立ち上がる、これまでにないリアルな音楽体験をもたらしてくれる。
そしてDP-1000とDC-1000はペアで使用するセパレート方式のディスクプレーヤーシステムだ。DP-1000はCDの他、いわゆるハイレゾと呼ばれる高解像度な音楽情報を収めたSA-CDの再生を行うトランスポート。一方DC-1000はデジタル信号からアナログ信号へ変換を行うD/Aコンバーターの役割を担う。DP-1000ではアウター・ローター型ブラシレスDCモーターや遮音壁を設けた大型ブリッジ、防振効果を高めた新開発のダンパーによってディスク回転時の動作音を大幅に削減。加えて低重心マウント構造によって外部振動の影響を抑え高精度なディスク読み取りも実現したという。
またDC-1000ではD/A変換回路や周辺部品配置を全面的に改め、ANCCの新採用と信号の大振幅化、新開発の2回路並列方式の出力回路Dual Direct Balanced Filterなどによって雑音性能やひずみ性能を向上させている。熟成を極めた8回路並列駆動方式のMDSD&MDS++D/Aコンバーターも出力の最短経路化を行うなど、ひずみや雑音の低減に加え、音の純度や質感の滑らかさ、リアルな空間描写力に対してもこだわった、歴代最高のクオリティーを持つシステムだ。
●アキュフェーズ TEL045-901-2771
※『Nile’s NILE』2021年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています