![穏やかな七尾湾と能登島を望む特別階「浜離宮」。宿泊客専用ラウンジ「雪月花倶楽部」内には、人感センサーで照明や分煙機が作動する喫煙室が設置されている。](https://e.nileport.com/wp-content/uploads/2022/05/dsc0522_1.jpg)
1200年もの歴史を持ち、日本でもめずらしい“海の温泉”として広く知られる石川県能登半島の和倉温泉。その中でも「加賀屋」は、100年以上の時を経てもなお、人気の高い日本有数の老舗温泉旅館だ。湯治客はもちろん、これまでには皇族や文化人も数多く訪れ、心身ともに癒やされてきたという。
「加賀屋にお泊まりになる方すべてに心よりくつろいでいただきたい」
これは1906年の創業当時から変わらない「加賀屋」のおもてなしの心。足を踏み入れた瞬間から小さな気くばりや心くばりが至るところで感じられ、ここでの滞在を特別なものにしてくれる。
![ゲストを迎えるラウンジ「飛天」は、天女が舞う輪島塗の大パネルが印象的な豪華な空間で、舞台の上からは琴の生演奏が響く。エントランスの横には屋外喫煙所を配置している。](https://e.nileport.com/wp-content/uploads/2022/05/e7605b8ee994afb79755202a2677543d.jpg)
エントランスを入ると、風光明媚(めいび)な七尾湾に浮かぶ能登島が目の前に現れる。華やかなラウンジの先に広がるその美しい景色が、ゲストの旅情をそそり、これから始まる時間に期待がふくらむ。
客室は「雪月花」「能登渚亭」「能登客殿」「能登本陣」、そして「雪月花」の18階から20階に位置する特別階「浜離宮」の5タイプで、全室とも広々した純和風のしつらい。日本古来の旅館を正統に継承した静謐(せいひつ)な空間で、穏やかな七尾湾を眺めながら、ゆったりとくつろぐことができる。
さらに、能登半島ならではの季節の恵みを生かした料理の数々を堪能し、良質な温泉で心身ともにあたたまる至福のひとときが、大人だけの贅沢な旅を実現してくれるだろう。
![「雪月花」のメインダイニング「四季亭」。2018年10月のリニューアルを機に、120席ある店舗の中央に喫煙室を新設した。ゲストが利用しやすいよう配慮されている。](https://e.nileport.com/wp-content/uploads/2022/05/DSC3911-2_3.jpg)
また「加賀屋」では、すべてのゲストが心地良く滞在できるよう、約10年前から分煙化に取り組んでいる。
これは「愛煙家の方がストレスや肩身の狭さを感じないように」という考えによるもの。近年、日本でもパブリックスペースや屋内での禁煙化が進む中、4月からは改正健康増進法の全面施行により今まで以上に喫煙できる場所が制限される。とくに屋内は、喫煙室以外での喫煙が原則禁止となる予定だ。
![「能登本陣」の1階に設置された喫煙室。畳ベンチや障子、土壁など和の意匠を取り入れたくつろぎの空間としている。人の行き来が多い場所なので、扉にはすりガラスを採用。](https://e.nileport.com/wp-content/uploads/2022/05/DSC_1154_4.jpg)
こうした状況の中、新たに喫煙室を設置しなければならないケースも多いと予測されているが、すでに「加賀屋」では館内4カ所に喫煙室を用意。特別階「浜離宮」の宿泊客専用ラウンジ「雪月花倶楽部」内、「雪月花」のメインダイニング「四季亭」内、宴会場やコンベンションルームのある「雪月花」の4階、「能登本陣」の1階と、いずれもアクセスが容易で分かりやすいパブリックスペースを設置場所に選んでいる。
喫煙室ごとに異なるが、テレビを設けたり、客室をイメージさせる和のしつらいを取り入れるなど、ゲストが快適な空間でリラックスしてくつろげるよう、さまざまな工夫が見られる。さらに清掃は約1時間ごとに行うなど、衛生面にも配慮。愛煙家の目線に立ち、喫煙者が心地良く過ごせる環境を整えている。
たばこを吸う人も吸わない人もストレスなく滞在を楽しめる空間を目指し、時代が求める変化にいち早く対応してきた「加賀屋」。こうした分煙に対する取り組みからも、創業以来変わることのないゲストへのおもてなしの心が感じられる。
●和倉温泉 加賀屋 TEL0767-62-4111
※『Nile’s NILE』2020年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています