長く大事に使いたいものをつくる

SDGs×企業 第16回 ジョルジオ アルマーニ

Text Text Junko Chiba

SDGs×企業 第16回 ジョルジオ アルマーニ

giorgio armani
盛況のうちに幕を閉じた「2023春夏ミラノファッションウィーク」の最後を飾って、「Sustainable Fashion Awards2022」の授賞式が行われた。

先頃、アルマーニ氏が「サステナブル・ファッション・アワード2022」のヴィジョナリー賞を受賞した。長年にわたって、環境保全や循環型経済の推進などに取り組んできたことが、高く評価されたのだ。もっとも氏自身は、社会貢献を「企業が当たり前に果たすべき役割」と捉え、とりたてて世の中に喧けん伝でんすることはしてこなかった。しかし今年4月、”SDGs時代”の流れの中、SDGsに特化してグループのポリシーや活動内容を伝えるウェブサイト「Armani/Values」を立ち上げたのだ。アルマーニが積極的姿勢を表明するだけで社会の”SDGs機運”が高まる。これはこれで非常に意義深いことだと感じる。
 
こうした背景には、アルマーニ氏の中には、ファッションに携わった当初から変わらぬ思いがある。それは身につける人に「大事に使って、長く愛用したい」と思ってもらえるものをつくること。リサイクルやリユースに回される以上に環境にやさしい、大切なサステナブルだ。たしかに「捨てられないものをつくる」こと、「ものを捨てない」ことは、SDGsの掲げる目標12 「つくる責任、つかう責任」を果たす究極の行動と言えよう。
 
実際、アルマーニの洋服をはじめとするファッションアイテムや家具は、大半が長く愛されるものとして定評がある。今シーズンのパンツと5年前のジャケットを合わせてもマッチするし、10年前のスーツを今着ても新鮮に映る。また親から子、孫へと、ある種の家宝のように受け継がれるケースも多い。つまりアルマーニのスタイルは、今この時の自分を表現するモードたりうるのだ。洋服は着る人を、家具は使う人をかっこよく、ステキに見せる。過度な装飾のないシンプルなデザイン(less)だから、着る人・使う人の魅力をより豊かに引き出す(more)ことができるのだ。
 
この「less is more」の精神を貫く氏の率いるアルマーニ社は、早くから社会貢献活動に取り組んでいる。その一つの例が、地球環境保全のための国際的ネットワーク、グリーンクロスインターナショナルと2011年から行っている「ACQUA for LIFE」プログラムだ。命の根幹に関わる「水」について考えることから生まれた本プログラムは、飲料水の安全な供給を得られていない人たちが全世界に7億人以上もいて、一番の犠牲者がかよわい子どもたちであることに着目。きれいな飲料水を、それを必要とする人々に安全に供給することを目的に、活動をスタートさせた。井戸・雨水貯留システム・取水ポンプなどのインフラ整備を行うそのサポートは、約10年を経た今、21カ国・44万人に水を届けるまでに広がっている。

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What is luxury?

What is luxury?

Questioning this has now become synonymous with confronting the times. We are now witnessing a transformation of values on a global scale.
Sustainable, SDGs, ESG...... these terms are becoming a natural part of our daily lives. Many brands and companies have already begun to take this stance, as individuals and society as a whole are expected to become more aware of the importance of sustainability. In "NILE PORT," we would like to rethink and re-present luxury in the current era, sharing our values with brands and readers who have a progressive awareness.