長く大事に使いたいものをつくる

SDGs×企業 第16回 ジョルジオ アルマーニ

Text Text Junko Chiba

SDGs×企業 第16回 ジョルジオ アルマーニ

また日本で東日本大震災が発生した時、氏はユネスコ協会連盟に私財を託して奨学金制度を創設。被災により進学や将来の夢をあきらめざるをえない状況に追い込まれた若者135人に3年間、毎月2万円を支給した。後日談だが、当時の奨学生を代表して3人が、2019年に来日したアルマーニ氏のもとを訪れ、感謝の気持ちを伝えたという。現在は社会福祉関係や俳優の仕事をする彼らに、氏は「一番大事なのは命。命こそ財産。こうして君たちと話せたことが、何よりうれしい」と伝えている。
 
ほかにもSDGs関連では、「人権問題」に力を注いでいる。例えば強制労働や児童労働を行う工場で生産された製品を使っていないかなど、サプライチェーンの全体の流れを厳しくチェックしている。また今般のコロナ禍にあって、医療従事者を守るためにどこよりも早く工場のラインを、医療用作業着の製造に転換したのも、その一つの表れだ。さらに動物の尊厳にも目を向け、業界に先駆けて、2016年春に天然毛皮を一切使用しない「ファー フリー」を宣言。毛皮を取るために育てた動物の毛皮も使わないことを表明している。
 
もちろん環境問題の最重要事項である温室効果ガス(GHG)の削減にも、数値目標を掲げて取り組む。2019年を基準年に、「自社が直接・間接的に排出するGHGの量を2030年までに50%削減する」「購入した商品とサービス、及び下流の輸送と流通からのGHG排出量を42%削減する」という具体的な目標が設定されている。「常に革新的なプロセスを実施し、廃棄物を可能な限り削減し、再生可能エネルギー源を使用することで、地球に有害な排出量を削減。地球との共生を図っていきたい」考えだ。
 
数々の取り組みを通して、「ジョルジオ アルマーニというラグジュアリーブランドのサステナビリティは高潔な思想を軸に具現化されている」と実感した。

●ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL 03-6274-7070 https://www.armani.com/ja-jp

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What is luxury?

What is luxury?

Questioning this has now become synonymous with confronting the times. We are now witnessing a transformation of values on a global scale.
Sustainable, SDGs, ESG...... these terms are becoming a natural part of our daily lives. Many brands and companies have already begun to take this stance, as individuals and society as a whole are expected to become more aware of the importance of sustainability. In "NILE PORT," we would like to rethink and re-present luxury in the current era, sharing our values with brands and readers who have a progressive awareness.