光発電によって駆動するシチズン独自の技術「エコ・ドライブ」。定期的な電池交換の手間から解放し、発電効率や精度などの機能価値の向上のみならず、光を透過させるさまざまな素材や意匠を試み、審美性にもこだわってきた。そうした流れを受け、2017年に初めて土佐和紙を文字板に採用したモデルを発表。光を透過させる「エコ・ドライブ」との親性と味わい深い表情とを両立させ、高い評価を得る。
以降、色彩豊かな和紙文字板や、金箔、プラチナ箔を蒔ま いた和紙文字板のモデルなどを発表し進化を重ねてきた。そして和紙文字板の登場から5年を迎えるに当たり、新たなチャレンジとして、世界で最も薄いと言われる「土佐典具帖紙(てんぐじょうし)」を天然の阿波藍で手染めした文字板の試みが進められた。
古くから日本人の生活に根付いてきた藍染は、“ジャパンブルー”と呼ばれ、海外でも親しまれている。布、衣類、革製品など、近年その魅力の幅を広げているが、文字板に採用した腕時計は、おそらく世界でも初。それだけに耐久性や仕上がりの際のムラなど、さまざまなハードルを手探りで解決する必要があった。