新たな試みのパートナーは、ワタナベズという藍染工房だった。代表で藍師・染師の渡邉健太氏は、1986年山形県に生まれ、東京で勤務していたある時、藍染体験を通じて魅せられ、藍染で有名な徳島への移住を決意、伝統的な藍染に従事し始める。蓼藍(たであい)の栽培の土壌造りに始まり、染料の元となる蒅(すくも)作り、蒅に木灰汁などを加え、さらに発酵させ染料を作る〝藍建て〞、染色・製作に至るまで、全てを一貫して手掛ける。一つひとつの部品から時計の全てを自社内で一貫製造することができるシチズンのマニュファクチュールとしてのスタンスとも通底することに加え、ともに新しい試みに積極的なことからコラボレーションが実現した。
渡邉氏からの提案で、和紙の強度を上げるために、こんにゃくのりを塗布してから染色を実施。また光の透過性を確保しながら、藍染らしい色調に仕上げるために試作を繰り返し、デザイナーともディスカッションしながら、ターゲットとなる色味を決め、各工程が進められた。
こうして自然由来のものだけを用いた〝天然灰汁発酵建て〞という伝統技法で染め重ねられた藍染文字板は、冴えた色合いと深みが実に味わい深い。一つとして同じものがなく、工芸品ならではの魅力にも富む。
加えて、この藍染和紙文字板には、もう一つ重要なメッセージも込められている。藍染の染め上がりを左右する染液の中の発酵菌は、役目を終えると畑の土に返され、それが肥やしとなり、次にまた上質な蓼藍を育むという。自然なサイクルに基づき、長きにわたり色調を維持する藍染は、「エコ・ドライブ」を軸にシチズンが取り組むサステナブルなあり方とも響き合ったのだ。伝統性、次なる理想の創出、唯一無二であること、そして持続可能性。託されたメッセージが、この2モデルの他にない魅力を際立たせている。
※アナログ式光発電腕時計(自律型)として。2022年10月現在、シチズン時計調べ。
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