「責任をもって製品を製造することがいっそう期待されている」
IWCは高級時計の代名詞的存在。ポルトギーゼやパイロット・ウォッチなどのコレクションを擁し、スポーツ時計からエレガントな時計まで、幅広く扱う。1868年にアメリカの時計技師でありエンジニアでもあったフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが設立したIWCは、最先端の技術を追求する一方、人間だから可能な職人技と創造性に富む時計づくりを志向。精巧かつ丈夫で使い勝手の良いプロ仕様の時計や、クロノグラフや永久カレンダー等の複雑機構で知られる。
また素材の探求は、IWCのエンジニアリングの核をなす要素だ。例えばケースでは今、カラーセラミック、セラタニウムⓇ、チタンなど、腕時計に必要な機能的かつ審美的な要件を満たす先進的な素材が開発され、その独自の専門性で先駆的存在と目されている。ストラップの素材も然しかり。「生物の多様性と野生動物を保護する」という観点から、動物の皮革に代わる高品質な代替品を提供している。その背景には、「IWCの顧客から、環境への影響を最小限に抑えながら、責任をもって製品を製造することがいっそう期待されている」ことがある。IWCにとって「品質、耐久性、快適な使用感を損なわない、革ストラップの代替品を探求・開発する」ことは最重要課題でもあるのだ。
SDGsが掲げる目標の15「陸の豊かさも守ろう」につながるこの試みを象徴するものに「MiraTexTMストラップ」がある。「ミラクル(奇跡)」と「テキスタイル(布地)」を意味する「MiraTexTM」という素材は、石油化学製品やプラスチックを一切含まない、完全に植物と鉱物でできた革新的なもの。耐久性に優れていることに加え、なめす必要もないので、カーボンフットプリントが非常に低くなっている。さらに製造工程で水が不要で廃水が出ないし、100%リサイクル可能。「MiraTexTM」はつまり、自然循環型のイノベーションを実現した素材なのだ。